まだだ、まだだと思っていたのに
あっという間に辞める日が来た
5年前、何の経験もなく編集者になった
書くこと、表現することを仕事にしたかったので
長年の夢が叶ったのだ
けれど現実は厳しいもので
先輩の言っている意味がわからない
頼まれても何から手をつけていいのかわからない
やってもやっても終わらない
周りがてきぱき働いているのに
身動きとれない自分がなさけなかった
あのときの目標は「早く役に立つ人になりたい」
力はなくても、記事にしてみたい企画や
会ってみたい人はたくさんいた
まずは編集長をくどくこと
どれだけその人が魅力的かを語って、認めてもらう
それから、本人にアポイントをとる
どきどきしながら自信なさげに電話をすると
案の定断られそうな空気が漂う
でも、あきらめずに、恥ずかしいとかそういう気持ちも捨てて
「結局のところ、あなたのファンなんです、だから一緒に仕事してください」
というのを直球で伝えたら
承諾してもらうことができた
願えば叶うものなんだ
後輩ができたことも大きかった
自信がなくて泣いている姿を見ると、自然と
「励まさなくっちゃ」という気持ちになって
何でもいいから話しかけてみた
不満や不安をぼろぼろ、たくさん聞いたこともある
そんな話を聞かせてもらって、私もこんなふうにだれかに
不満を語ることができたらよかったなあ、と
ちょっとうらやましく思ったりもした
そのうち、連載やら付録やら、20ページぐらいのテーマやら
いろんな仕事を任されるようになった
自分のペースで仕事を進められるようになったり
行動範囲が広がったり
会いたい人にはほぼ会えるようになっていた
けれども、万事OKということは決してありえず
準備万端で望んだのに、ちょっとしたミスがもとで
人と気持ちがすれ違ってしまったこともある
ありがたいことに、押し寄せる仕事の量のおかげで落ち込んでいる暇はなく
「ええい、もう、次! 次がんばるからさっ!」と
切り替え早く、いい意味でずうずうしくなる術を学んだ
相変わらず忙しい日々、でも充実感たっぷりの毎日
仕事仲間も増え、仕事で知り合った人たちとの交流も楽しく続いていた
私がやるべきことも、編集長から漂う雰囲気で汲み取っているつもりだった
去年の年末、例年より長い冬休みがあって、ふと立ち止まってみた
本当にやりたいことってなんだっけ?
表現すること、書くこと、願いは叶った
で次なにするの??
私は継続より挑戦を選んだ
あと4日後には新しい環境で、新しい仲間と新しい仕事をすることになる
ちえぞうが初めて編集部にやってきたとき、忙しさのなか、まわりの女の子たちと「次に来る子、べっぴんだね〜」とひそひそ噂してたのを覚えてます。
まさか、あのかわいい子が、年上だったとは!笑。
私はまったくもっていい先輩になれず、私の持っている数少ない知識も、a元編集長から受け取ったたくさんの術も、きちんと伝えられなくてとても申し訳なく思っています。
でもちえぞうは、ちゃんと立派に成長していったから、すごいよね。
私がやめる前は、一緒に仕事できるのがとても楽しかったよ。特に通販のページとか相談できる相手ができて、よかったなあとしみじみありがたかったよ。
次の会社でもがんばってね!
落ち着いたら飲もう!